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coquito

  • Author:coquito
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2020 カリビアンシリーズ総括

 
2020年カリビアンシリーズ総括

昨年の突如の開催地変更騒ぎに続き今年も政治的な問題からひと悶着あったカリビアンシリーズ。今年はプエルトリコのサンファンで開かれ第62回を数えることとなった。サンファンでの開催は2015年以来の開催であり、年初からプエルトリコ南部で地震が頻発しているため地元民も不安がつのる中だったが、無事開催された。

詳細は後述するが、今年はこれまで6年間招待国として参加していたキューバが不参加となり、初めてコロンビアが参加することになった。今年のカリビアンシリーズの大きな特徴は予選ラウンドとして6チームの総当たりリーグ戦を行い(昨年は3チームごとの2つのグループに分けた)、上位4チームによるトーナメントで優勝を争うフォーマットとなった。その結果、予選ラウンドは初めて1日3試合を行う試合日程が組み込まれた。また、今年からカリビアンシリーズでも初めてビデオ判定が取り入れられることも、もう一つの特徴だった。

それでは例年のように各チームの寸評を述べたい。

ドミニカ共和国
ドミニカはプエルトリコ人監督のリノ・リベラが率いるトロスが参加し初優勝、ドミニカとしては通算20度目の制覇となった。リノ・リベラは現役時代に台湾でプレーしたこともあり、どちらかといえばプエルトリコのスター選手とは異なる立ち回りの存在だ。しかし、監督としての手腕は優秀でありドミニカリーグを2年連続で異なるチームで制覇し今年もカリビアンシリーズに乗り込んだ。昨年は予選リーグ敗退だったが今年は見事に制覇。過去にもメキシコのチームから出場したこともあるが優勝は達成しておらず、地元での勝利はさぞ嬉しかっただろう。またプエルトリコ人がドミニカのチームを率いて優勝するのも初だった。ドミニカチーム自体の分析を少しすると、ここ数年地元スター選手への依存から完全に方針を変更していることが挙げられる。ユニエスキ・マヤ、ラウル・バルデスなど亡命キューバ人の受け皿的な役割も担っており、またこの大会のMVPを獲得したピーター・オブライエンは米国人である。オブライエンはドミニカのリーグのMVPも獲得しており、ドミニカがプライドを捨てて多国籍軍で挑んだことで8年ぶりに優勝することができた(このブランクはドミニカとして過去最長)とも言えよう。今大会の結果からみても、今後この方針を維持することで、復活した野球王国を見せつけていくのではなかろうか。

ベネズエラ
昨年は突然の開催地変更で悔しい思いをしたベネズエラだが、まだその影響を引きずっている。今シーズン前にMLB機構はマイナー選手を含むMLB支配下の選手を今シーズンのベネズエラのウインターリーグに参加することを禁ずる通達を出した。その結果、リーグのレベル低下を招き今回のカリビアンシリーズでも40人ロースター選手はおろか、マイナーの選手が存在しない唯一のチームとなった。しかしながら、予選ラウンドでは安定した戦いを見せ、決勝のドミニカ戦では力尽きたが最後までベネズエラらしいパフォーマンスは発揮できていたように思う。

パナマ
昨年は突然の参加ながら優勝を勝ち取ったパナマ。今大会はアウェーの中どう戦うかが注目された。私の印象では、唯一の勝利は初参加のコロンビアからしか奪えなかったが、いわゆる強豪4か国との試合内容で判断しても、そこそこ良くやっていたように思う。なぜなら、予選ラウンド5試合のうち4試合が午前10時開始の第1試合に組まれ(そのうち1試合は前日ナイター明け)、パフォーマンスを発揮するのが非常に難しい中で3試合は2点差以内の敗戦と善戦した。2大会連続で成績を残すことで今後のパナマ野球への視界は広がったように思う。2021年のWBC予選が3月に予定されており、もしWBCの本線への切符を得るようであれば、パナマ野球の球界全体としてもう1ステップ上の戦いも期待できるのではなかろうか。

コロンビア
今回初参加となったコロンビアは背景を含め少し詳しく説明したい。第62回目にしてカリビアンシリーズに初めて参加することとなったコロンビア。Web上の情報によるとコロンビアに野球が伝わったのは1897年と120年以上前のことだ(ちなみにコロンビアで圧倒的人気のサッカーは1900年とのことで、野球はサッカーより早く当地に着いていたようだ。)。プロリーグが成立したのも1948年と古く、元巨人のマリアーノ・ダンカンやジェシー・バーフィールドもプレーしたことがあるとか。今大会の監督は、元シカゴ・ホワイトソックスの監督、オジー・ギーエンの息子オズニー・ギーエンが務めた。コロンビアがカリビアンシリーズに参加する噂はかなり前からあったが、今回正式にカリブプロ野球連盟に入会したことにより正式な参加の運びとなった。今回参加したチームの成績はというと、5戦全敗という残念な結果となったが、全く通じないというレベルではなかった。特に投手はチーム防御率3.51とそれほど良くはなかったものの与四球は5試合で14と参加5チームで最小、WHIPも1.22と及第点だった。今大会での課題は打撃であり、5試合のうち3試合がシャットアウト負け、5試合の総安打数が20本ではどうしようもなかった。コロンビアは来年の大会への参加も約束されたことで今後急速に力をつけてきても不思議ではない。

メキシコ
2010年代のカリビアンシリーズの強豪だったメキシコだが今回も一定の実力は示した。メキシコは自国のファイナルシリーズが終わったのが1月30日、翌々日にはドミニカとの試合が行われコンディションが良い状態ではなかったのが悔やまれる。来年はメキシコのマサトランで開催が予定されており、久しぶりの優勝も期待される。

プエルトリコ
プエルトリコはリーグ優勝したサントゥルセがファイナルシリーズも優勝し完全優勝した。今大会の球場はサントゥルセの地元であり、前回のプエルトリコ開催では地元開催でありながら決勝トーナメントに進出できない失態を犯してしまっただけに、参加国で最多の8人のマイナー選手を入れて挑んだ戦いだった。予選は突破したものの準決勝でドミニカに逆転負けを許し優勝を勝ち取ることはできなかった。しかしながら、前回の地元開催では予選敗退で失望したファンも今回の戦いぶりには満足しただろう。

キューバについても少し
1月5日にキューバが参加しないことがカリブプロ野球連盟から発表された。理由はキューバ代表に米国(開催地のプエルトリコは米国領であるため)のビザを発給できないためとのことだった。これはキューバの国内リーグの優勝が決まるのが1月18日、そこから開幕日までの2週間弱ではビザは発給できないことが予想されたからだ。同連盟のプエジョ会長は、「ドミニカ共和国のアメリカ大使館はビザ発給に最大限に協力する。」とコメントしたが参加を実現することはできなかった。実はプエルトリコで開催された2015年の大会の時にはキューバ代表は参加して優勝もしている。なぜ今回はこんなことになったかというと、この時とは情勢が2つ大きく異なっているからだ。一つはアメリカの政権がキューバ友好路線のオバマから、反移民のトランプに変わったこと。実際、オバマ時の2016年には、キューバ人が亡命せずにMLBに移籍できる協定を結ぶことが発表されたが、トランプ政権に変わってから同締結自体が撤回されている。もう一つは、当時のキューバ国内リーグは5月に決勝シリーズを行っていたので、2月のカリビアンシリーズには前年の優勝チームが来たためビザを取得する時間的余裕があった(といってもキューバはほぼナショナルチームの編成だったが)。しかし、今のキューバリーグの日程ではリーグの優勝が決まってからビザを申請したのではあまりにも時間がなさすぎた。しかし、キューバ側の主張はちょっと異なる。キューバ野球協会は「このカリブプロ野球連盟の決定はアメリカの独断的な決定に屈したことを意味し、その結果キューバを同連盟員に加盟させる約束を踏みにじった。」と強く批判した。キューバのディアスカネル大統領も、「キューバのスポーツが帝国によって侮辱された。」とツイッターで声明を出した(ちなみにキューバ大統領がツイッターを使っているのも驚いたが、トランプばりの結構な頻度でつぶやいている。)。昨年もベネズエラから同じようなコメントを見たような気がするが、今年もスポーツの祭典に政治が介入される残念な結果となった。キューバは来年参加させてくれれば今回の件は許すとコメントしたが、現状では参加は難しいような気がする。
ついでに、私的な別の観点から一つ。今カリビアンシリーズの翌月の3月に東京オリンピックのアメリカ大陸予選が行われる。キューバ代表はまだ出場権利を有していないため、本予選でアメリカ、プエルトリコ、ドミニカ、ベネズエラなどの強豪と1枠(+最後の1枠への権利)を争わなければならない。2004年のアテネ五輪以降、トップレベルの選手が出るWBCとオリンピックでの優勝がないキューバは、東京オリンピックで何が何でも優勝したいところだろう。そのために手の内を隠す意味でも、最終予選直前の国際大会となるカリビアンシリーズへの参加を見送ったのではと勘繰りたくなる今回の不参加だった。

全体のまとめ
今回使用したヒラム・ビソーン球場は、中南米でMLB公式戦、WBC、カリビアンシリーズが行われたことがある唯一の球場であり、ある意味メジャースケールの球場である。そのため、5点以上の点が入った試合が全18試合で5試合しかなく大会全体のHR数は9本しかなかった。また、接戦が多かったことも特徴であり、1点差の試合が半分以上の11試合、2点差以内まで含めると78%の14試合となった。これは何を意味するか。私はこう考える。どちらかというと大雑把で点の入りやすいカリブの野球でなぜ点が入らないのか。実は昨年もロースコアだったのだが、大きな原因はタレント不足(特に打者)によるものと考える。過去のカリビアンシリーズでは各国少なくとも一人くらいは、MLBの主力選手級がスタメンに入って、人気・実力の面でチームを引っ張っていた。しかし、今年の各チームの参加選手を見ると、MLBの40人ロースター入りの選手が全6チームでたったの2人、マイナー選手を含めても21人(1チーム平均3人強)と、ひとことで言って今のカリビアンシリーズとはMLBのマイナーもしくはそれ以下の選手がプレーしている大会なのが実情だ。私は現地に行って雰囲気を見ていないのであまり強く言えないが、この状況は往年のカリビアンシリーズを知っている野球ファンにとっては非常に物足りなく感じているのではないだろうか。今回の大会は、前回のプエルトリコ開催の時に比べて試合数が増えたにもかかわらず観客数は超えることができなかったことも、こういった要因があるのではないかと感じる。パナマ、コロンビアが強豪4か国に虐殺されず対等に戦えることはポジティブなことだが、やはり大会の華となる選手、ラテンアメリカの野球ファンなら誰もが知っている選手は、1人、2人はいて欲しいと思うのが本音だ。今後、カリビアンシリーズでこの流れが続くのか、それともミゲル・テハダのようにMLBでMVPを獲得した年でもウインターリーグでプレーしカリビアンシリーズに出場する選手が出てくるのか。非常に興味があるところである。

大会表彰選手
最優秀選手
MVP: Peter O’Brien (República Dominicana)
ベストナイン
SP: Edgar Torres (México)
RP: Ramón Ramírez (República Dominicana)
C: Alí Solís (México)
1B: Joey Meneses (México)
2B: Ramiro Peña (México)
3B: Emmanuel Rivera (Puerto Rico)
SS: Ali Castillo (Venezuela)
LF: Rubén Sosa (República Dominicana)
CF: Rico Noel (México)
RF: Henry Ramos (Puerto Rico)
DH: Jordany Valdespín (República Dominicana)
最優秀監督
Manager: Lino Rivera (República Dominicana)

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