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カリビアンシリーズ2015総括

 
カリビアンシリーズ2015総括

2月2日から7日間に渡って行われたカリビアンシリーズ。今年も総括を行ってみたい。カリビアンシリーズの開催地はプエルトリコ、ドミニカ、メキシコ、ベネズエラの4か国の持ち回りで順次行われており、今大会はプエルトリコの首都サンファンで行われた。サンファンで行われるのは1999年以来であり、WBC予選では毎回使われているイラム・ビソーン球場だがカリビアンシリーズは16年ぶりの開催となった。

興業面では、大会を通じて延べ112,000人の観客は去年に次ぐ過去2番目の観客数だった。特にプエルトリコ戦は地元チームが代表とあってチケットの売れ行きも好評で、対ドミニカ戦、対キューバ戦はチケットがラテンの世界では珍しく前売りで売り切れとなった。テレビ放送に関してもカリビアンシリーズを中継したESPNのスペイン語版、ESPN Deporteでは決勝戦の視聴率がカリビアンシリーズの過去最高を記録し、277,000世帯が観戦した。

それでは各国ずつまとめを行う。
プエルトリコ
今回、開催球場ホームとするサントゥルセが出場しプエルトリコとして16年ぶりの優勝を狙ったが結果は予選敗退となった。圧倒的なチーム力を構成できなかったのが大きな理由であり、キューバ戦の再三のチャンスで1点でも取れていれば予選を突破していただろう。あえて言うなら若手プロスペクトのハビエル・バエスがMLBの所属先のカブスから参加の許可が得られなかったことも大きかったのではないか。唯一の見どころは1995年のドリームチームが再開し試合前のセレモニーで表彰されたところだったのが現在のプエルトリコの層の薄さをよく表していると言ってよかろう。

ベネズエラ
予選は4戦全勝と完璧な戦いで、ベネズエラ以外は勝ち越したチームがいなかったことから間違いなく今大会の最強チームだった。カリビアンシリーズは補強選手として他チームの選手が入ってチーム編成できるのが特徴だが、実はベネズエラはビザの取れなかった最小限の3人しか補強しなかった。これが功を奏しリーグ戦のチーム力を維持したまま大会で戦えたことも成功の一因と言ってよかろう。

ドミニカ
今回のドミニカ代表は初出場のヒガンテス・デル・サンティアゴだったが、キューバに勝つなど一定の成績を残したものの決勝進出は逃した。実はドミニカは3年連続でメキシコに負け大会を終了しており天敵とも言ってよい存在だ。しかも全て1点差の負けで意外に勝負弱いのがここ数年のドミニカの特徴だ。ただし、今年のメンバーは大会のベストナインに5人が入ったものの例年に比べるとやや小粒なメンバーであり、MLBのスタメン級は不在でエリアン・エレーラなど若手選手を中心としてチームを組んだのが特徴だった。

メキシコ
メキシコは今大会で3年連続の決勝進出となった。昨年の総括で2010年代のカリビアンシリーズの雄と書いたが、今大会もその存在感を十分に示した。3連覇はキューバの勢いに屈し達成できなかったが期待に応える戦いだった。チーム打率が参加チーム中最下位(.188)ながら決勝まで到達したことを評価され監督のベンジャミン・ジルが最優秀監督賞を獲得した。前回のカリビアンシリーズの総括で世界一速い2017年のWBC優勝予想を書いたが、やはり今大会を見てもメキシコの国際大会での強さは本物であると確信した。

キューバ
去年の予選敗退の悪夢の結果から今回は優勝と一気に偉業を成し遂げたわけだが、去年の総括では敗因の分析をじっくり行った。今回は勝因をじっくり分析してみたい。
1.チーム
カリビアンシリーズは自チームから補強選手を加入させてチームを構成することが認められているが、今回キューバは28人のロースターに対し、大挙18人を補強選手として加入させた。参考までに全チームの自チーム、補強選手の内訳を下に示す。
キューバ:自チーム10人、補強選手18人
ドミニカ:自チーム14人、補強選手14人
メキシコ:自チーム19人、補強選手9人
プエルトリコ:自チーム22人、補強選手6人
ベネズエラ:自チーム25人、補強選手3人
補強選手数はキューバが最多であるが、その18人の補強選手の内訳も昨年11月に行われたカリブ・中央アメリカ大会のキューバ代表チームのメンバーがほとんどであり、決勝戦のスタメン全員が今大会も揃った。カリビアンシリーズは本来各国クラブチームのカリブ一を決める大会だが、キューバの場合は全く別のチーム、現在のキューバ代表と言って差し支えないメンバーだった。3か月前のカリブ・中央アメリカ大会でキューバは無敗で優勝しているだけに、今回のカリビアンシリーズも優勝もある意味当然の結果と言えよう。
ちなみに今大会、ピナール・デル・リオのユニフォームを着て2連敗後、キューバの名が入ったユニフォームに変えてから3勝1敗と本来の調子を取り戻した。何気にキューバチームの場合ユニフォームの変化が快進撃の要因であるのかもしれない。
2.亡命騒動
プエルトリコに入ってすぐ、チームからブラディミール・グティエレスとダイネル・モレイラの2名がチームから脱走という形でチームを離れた。亡命を見越した行動だろうが、今回ホテルのロビーにも「ブスコンBuscon」と呼ばれるスカウト、仲介人がたくさん現れ、急きょホテルへの立ち入り禁止が敷かれるなどチームへも試合外の所での騒動が起きた。彼らにとっては慣れていると言えば慣れているのだが、毎回国際大会でこのように隔離されるのは、やや可哀想ともいえる。
3.投手陣
今回の優勝の立役者は、準決勝、決勝で大爆発しMVPを獲得したフレデリック・セペーダであることは間違いないが、チーム単位で考えると投手陣の踏ん張りが大きかった。今回、元々28人ロースターのうち投手は9人しかメンバーに入っていなかった。そのうちグティエレスがチームを脱し8人の投手で大会を回さざるを得なかった。キューバの野球に詳しい人なら分かるのだが、キューバは過去の国際大会では細かい投手リレーをすることで有名だ。しかしながら、キューバは優勝までの5試合を、3人、2人、3人、3人、3人と少ない人数で投げ切ることができた。チーム防御率は3.40と参加チームで最低だったが、トーナメントに入ってからの踏ん張りが優勝の大きな決め手となった。
4.まとめ
キューバは2連敗で2年連続の予選敗退かというところから踏ん張り優勝を勝ち取った。キューバとはストライクゾーンの違い(キューバの方が高い)があるようであり、アジャストするまで数試合を要したが、ここ一番での強さはやはり本物であり準決勝のベネズエラ戦では外野フライで一塁からタッチアップした選手が得点に絡むなど隙のない野球も見せた。しかしながら、実質キューバ代表のチーム構成でありながらギリギリの勝利であること、しかもその代表も古株が多くなってきて次の選手がなかなか出てこないこと、(メジャーに抜けてしまうこと)を考えると、国内リーグの選手層は意外に薄く、単独チームで出場すれば恐らく惨敗を喫するのではないかと容易に想像できる戦いぶりだった。

最後に
今カリビアンシリーズの私の印象はいい意味で新鮮味の少ないカリビアンシリーズに感じた。決勝戦を行う、キューバを入れるなどここ数年で改革してきたが、早くもこのフォーマットが定着した結果だろう。予選全勝、唯一の勝ち越しチームのベネズエラが決勝に行けなかったのは残念だが、1週間で行う大会での1発勝負の面白さの方が見ている方は楽しみが大きい。今後は$20Mというカリビアンシリーズの経済効果を生かす市場での開催も提案されており、またキューバ国内での開催の可能性も探っていくようだ。

その他
今カリビアンシリーズの開催中にMLBのチームがキューバ人選手との契約の際の手続きの簡素化をMLB機構が発表した。また昨年12月には米国がキューバの国交正常化へ向けた交渉を開始すると報道された。これらを受け多くの野球コラムニスト、ブロガー達が今後多くのキューバ人選手が米国に行くことは避けられないと書いた。しかし私はこの論調にはやや疑問を感じる。果たして本当にそうだろうかと思う。なぜならそのコラムにはキューバ側の視点で全く述べられていないからだ。
想像してほしい。例えて言うなら今までは入園禁止のキューバ農園で生育されている質の高いリンゴをスカウト、仲介人が夜中に忍び込んで盗んできていた状態だった。もちろん亡命なのでリンゴ自身の意志があるとはいえ、アメリカ(MLB)は盗人に対して高い金を払って盗難品を高い金で買っていた。それが将来は自由に農園に入っていいことになるという。アメリカの視点では「ラッキー、これで好きなだけ持ってくることができる。」となるが、ドラえもんのジャイアンのように、のび太の物は俺の物の理屈がキューバに通用するだろうか?普通に考えれば入園料を取るとか、あるいは取ったリンゴの質、量に対してキューバがアメリカに対価を請求する流れになるだろう。仮にそうなったとしても、キューバがアメリカに対して自分たちの資源・人材を簡単に渡すかどうかは甚だ疑問だ。喜んで自分たちの産業を空洞化させるバカはいない。日本と米国の関係を見習い、アメリカへの流出を制限するルールを策定する必要性を当然考えているだろう。その結果、今のように亡命さえできれば無制限に選手が流出する状況は、意外に歯止めがかかるのではないかと私はみている。いくら国交が正常化したとしてもキューバがアメリカの犬になる可能性がほとんど無いのは、非常にプライドの高いキューバ人の性格を見ても明らかだ。
しかし、私の言いたい本質はそこではない。ここ数年のキューバ野球は対NPB、対MLBに対して鎖国を開国せざるを得ない限界に来ているにもかかわらず、戦略が見えないことこそが一番の問題だと私は見ている。グリエル、デスパイネ等のスター選手を簡単に日本に手放し、しかも契約はポスティングなど明確な基準があるわけでもなく裏で密約されたような早い者勝ちの取引である。選手の移籍に関してキューバ野球協会内でシステマチックに動いている様子が全く見受けられず、恐らくこの体制のまとまりの無さがここ数年のキューバ代表の弱体化の根本ではないかと思う。

(2015.2.15 記)

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2015.05.26 | [] | Edit

          
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