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カリビアンシリーズ2016 総括

 
カリビアンシリーズ2016 総括

 第58回のカリビアンシリーズが無事終了した。今年も総括を行ってみたい。今年はドミニカ共和国の首都サントドミンゴにある、キスケージャ・フアン・マリチャル球場(Estadio Quisquella Juan Marichal)で行われ、ドミニカ人として初めてMLBの野球殿堂入りしたフアン・マリチャルの名前が記されてから初めての開催となった。今大会もキューバを加えた5か国による対戦となり、このフォーマットも3年目を迎え関係者の中でも定着してきたように思う。

 さて、大会はメキシコが6戦全勝で優勝したわけだが、終了して筆者の感想を一言述べさせてもらうと、「カリブの野球勢力通りの実力をほぼ反映した結果となった。」が正直な感想だ。まず下の表を見ていただきたい。

過去3年の予選リーグ勝敗、総得失点合計

勝数負数総得点総失点得失点差
ベネズエラ105840+18
メキシコ6043+17
プエルトリコ4444±0
ドミニカ共和国5146+5
キューバ2969-40

これはキューバ参加後の今年を含む過去3年の予選リーグの勝敗と得失点の合計を表している。この表から分かることは、ベネズエラ、メキシコが勝敗、得失点差共に他の3チームを引き離し5か国の中では少し抜けた存在であり、また、キューバは勝敗、得失点共に他の4チームと比べ非常に低いことが分かる。ざっくり言うと、2強(ベネズエラ、メキシコ)、2中(プエルトリコ、ドミニカ)、1弱(キューバ)の状態だ。データを無視した一般的な理解ではキューバは強打のチームと印象付けられているが、実際は1試合平均で約2.4点しか得点できない貧打のチームであることがデータからは見て取れる。大会は、このデータ通り決勝戦はベネズエラとメキシコの対戦となり、好ゲームを繰り広げサヨナラHRという劇的な形でメキシコが優勝した。

次に、各国ずつのまとめを行う。
ドミニカ共和国
 ホスト国として優勝に期待がかかったドミニカだが、結果はファンを大いに落胆させる0勝4敗で予選敗退の結果となった。ホスト国の予選敗退は昨年のプエルトリコに続き2年連続であり興業的にも痛い結果だった。またドミニカが全敗でカリビアンシーズを終了するのは史上初であり、ホスト国の全敗も恐らくカリビアンシリーズの歴史上で初であろう。なぜこのような結果となったのだろうか?少し考察したい。まず代表チームは2010年、2012年など過去4回のカリビアンシリーズ優勝を経験しているエスコヒードであり、慣れ云々ということは無かったと思われる。チーム編成的に特徴と感じたのはリリーフにタレントのある選手を集めたことだ。MLBで実績のあるフェルナンド・ロドニー、ラファエル・ソリアーノ、ジョエル・ペラルタの3人のいるチームは数年前ならMLBでもトップレベルのリリーフ陣と言えたであろう。しかし実際は2試合連続でセーブ失敗するなど、このリリーフ陣が期待を裏切った。実はドミニカの今年を含む過去3年の予選リーグの8度の敗戦は1点差負けが7度、2点差負けが1度と非常に接戦に弱い結果が出ている。一見これはドミニカが接戦で勝負弱いチームであると言えるかもしれないが、私的には「強打者の不足」を挙げたい。ドミニカが強かった1990年頃~2010年頃は、代表チームに現役MLB選手が出場していた。ミゲル・テハーダ、デビッド・オルティス、トニー・バティスタ、ラファエル・ファーカルなど錚々たる打線だった。しかし、ここ数年は強打の選手が参加しておらず、期待通りに前表に表すように得点を挙げることができない状況だ。今後もこのような状況が続けば強豪ドミニカの復活も遠くなる可能性もある。野球好きのドミニカファンもこの結果は不運だけでは片づけられないようであり、ネット上は喧々諤々の議論が展開されていた。

メキシコ
 今大会も実力を見せつけたメキシコ。これで過去6回の大会で4回優勝1回準優勝と圧倒的な成績を残し続けている。参加国でのチーム打率が2位、チーム防御率1位と、単に勝敗だけではない実力を兼ね備えている。最優秀監督に輝いたフアン・ホセ・パチョ監督は初戦で地元ドミニカに勝ったのが大きかったと大会を振り返り、優勝したことを誇りに思うとコメントした。丁度40年前の1976年に初めてメキシコはカリビアンシリーズで優勝したが、今回の優勝で9回目の優勝となりキューバを抜いて単独3位となった。私は2年前、2014年のカリビアンシリーズの総括で2017年WBCの優勝はメキシコであると世界一早い予想を行ったが、今大会を見てもその予想に揺るぎは無い。過去のWBCでカリブの国でベスト4に進出したことが無いのはメキシコだけであり、又2015年プレミア12ではベスト4進出するなど国際大会での強さは本物である。実は、メキシコは2017年WBCには予選から参加することになるのだが、地元での予選突破を皮切りに本線でも快進撃を期待したい。

ベネズエラ
 最後のここ一番でメキシコに負け優勝を逃したが、予選リーグでも敗戦しておりある意味実力差があった証明と言えよう。今大会での見どころの一つであった元メジャーリーガーのフレディ・ガルシアも無難に役目を成し遂げた。このような戦いを続けていけば、近いうちに優勝することも可能であろう。なお、参加5チームのうち、ベネズエラの代表ティグレス・デ・アラグア(Tigres de Aragua)だけが大会を通してチームのユニフォームをきてプレーしていた。確かにナショナルチームのユニフォームを見るのも悪くはないが、各リーグの優勝チームが参加しているだけに自チームのユニフォームでプレーする方が士気は上がりそうだ。ベネズエラは今回も補強選手としては他国に比べ5人しか追加しておらず、この辺りも影響しているのであろう。


プエルトリコ
 2000年のカリビアンシリーズ以来最も長く優勝から遠ざかっているプエルトリコ打が今大会も優勝することはできなかった。自国リーグで逆転優勝をしたカングレヘロスだったが、大量16人の補強選手を入れたものの準決勝の壁は大きかった。あえてポジティブな点を探すなら、ドミニカに対してはこの大会の勝利で2013年以降4年連続で勝利している。一時期、敗戦が続き苦手意識のようなものがあったが、これで完全に払拭されたと言えるのではないか?ただし参加5か国の中で最もリーグの参加チーム数が少ないこともあり、選手層の薄さだけはどうしようもないように感じる。

キューバ
 昨年は予選最下位通過からまさかの逆転優勝を成し遂げたキューバだが、今年も同じような展開にはならなかった。チーム打率(.203)、チーム防御率(6.40)は参加チーム中ダントツの最下位であり、チーム力の低さを証明する結果となった。実は今回のチームもロースター28人のうち、2015年秋に行われたプレミア12に参加したメンバーが半数の14人を含む構成であり、前回と同じようにナショナルチームもどきを編成してきたにもかかわらず、この結果となったのはキューバの野球関係者も頭が痛いところだろう。色々要因は考えられるが私はキューバの投手起用についてコメントしたい。今大会でも矢継ぎ早に、ある意味場当たり的にリリーフすることが多かったが、キューバの問題の一つに投手起用システムが確立されていないことがある。確かに国内リーグのBoxスコアを見てみると、セーブシチュエーションに9回だけに出てくる投手起用が非常に少ない。つまり、クローザーという役割がキューバではまだ完全に確立されていないのである。良い投手から順に投げダメなら次々と交代するのがキューバの投手起用スタイルだ。8回を投げて0点に抑えれば9回も投げることが非常に多い。西欧、アジアの野球では投手の分業は常識となっているが、キューバは現代野球に取り残されている状況が、昨今のナショナルチームの不振の要因の一つではないかと感じる。打撃については、デスパイネの大ブレーキ痛かった。大会通して打率.167、4打点では前を打つグリエルが出塁率5割を残しても得点に結びつけられなかった。単に不調だったのかそれとも能力が落ちてきたあのかは不明だが、そろそろ打線も世代交代しないと一気に他国から取り残されそうである。また、この大会後にグリエルがチームから離れ亡命を匂わせているが、ぶっちゃけ、グリエルもキューバのチームに愛想が尽きたのではないか?プレミア12もそうだったが、こんなチームで一人やってられないよと思っても不思議ではないと私は思う。

最後に
 今大会、チケット販売方法のトラブルによる空席が目立ったことを除いては大きな問題なく大会は無事終了した。キューバが参加するこのフォーマットも良い点悪い点は色々あるが、私は問題ないと考えている。今後はパナマを加入させる点、キューバで開催する点の二点が検討されているようだ。
さて、次回のカリビアンシリーズの開催はメキシコのクリアカアンという街で行われる。球場は昨年新築されたBBVAバンコメール球場を使用予定で、非常に近代的な球場だ。メキシコは前回もカリビアンシリーズのために球場を作っており、この大会にかけるメキシコの意気込みは関係者並びにファンも含め非常に高い。既にYouTubeではプロモーション用のビデオが作成済みであり、チケット争奪戦が大変だけど見に行くとすればこの大会は非常に楽しめるだろう。

カリビアンシリーズ2017 プロモーションビデオ


表彰選手
ベストナイン
1B Neftalí Soto (PR)
2B Yulieski Gourriel (CUBA)
3B Adonis García (VEN)
SS Juniel Querecuto (VEN)
LF José A Martínez (VEN)
CF Justin Greene (MEX)
RF Alex Romero (VEN)
DH Dariel Álvarez (VEN)
C Sebastián Valle (MEX)
右投手 Freddy García (VEN)
左投手 Héctor Daniel Rodríguez (MEX)
リリーフ Steven Hansley (MEX)

最優秀監督Manager: Juan José Pacho (MEX)
最優秀選手: José A. Martínez (VEN)

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